なんとかフラフラの足取りで教室まで戻り、資材を渡した後、心音ちゃんに体調が悪くなった事情を話して保健室へと向かうことにした。
「送っていくよ!」と心音ちゃんは心配してくれたけど、作業の手が離せない状態だったから、私はなるべく顔を作って「大丈夫だよ」と笑ってみせた。
えーと保健室…保健室どっちだっけ…。
…あ、ここの下の階か……。
記憶を頼りに、薄れる意識をなんとか繋ぎ止めて階段を目指す。
立ち上がっているだけで身体の芯がズシリと重く、呼吸がうまく整わずに荒くなってしまう。
保健室へ向かう階段の前に立ち、一段下へ向かって足を踏み出した、その瞬間だった。
視界がぐにゃりと歪み、ふわっと身体が宙に浮くような感覚に襲われた。
『……!』
やばい。
そう思った時にはもう遅くて、
あ、これ階段から落ちるやつだ…と悟った。
なんでフラフラなのに手すりを使おうと思わなかったのかと自分を責めたい。
落ちる──そう覚悟して固く目を閉じた、次の瞬間。
「胡桃っ…!」
切羽詰まった叫び声が廊下に響き渡り、後ろから力強い腕が私の身体を抱き寄せた。
ガシッと強い力で腕を引かれ、倒れかける身体がそのまま誰かの胸の中へと引き戻される。
ふらりと寄りかかるように、私はその温かい胸板の中にすっぽりと収まっていた。
「はーー……焦った……っ。間に合ってよかった………」
あぁ…この、安心感のある声は、
「大丈夫?胡桃。」
叶兎くん…。


