「え」
春流くんと目があって、一瞬春流くんの動きが止まる。
その理由を理解するのに1秒も掛からなかった。
今の私は傍から見れば“朝、男の子の部屋のベットで寝てる女”の図。
「うわ、不純!生徒会長も隅におけないな〜」
楽しそうな顔で叶兎くんに絡みに行った春流くん。
「誤解だ!何もしてねーよ!」
叶兎くんも動揺しすぎて口調変わっちゃってるし、春流くんってぱっと見王子様系の王道イケメンってイメージだけど、こういうところ見ると2人とも男子高校生らしくて…素を見れてる感じがしてちょっと嬉しい。
『ほ、ホントに春流くんが思ってるような事じゃないから!雷すごくて寝れなかっただけだからっ!』
「そう、ただの誤解。校長が呼んでるんだろ、今行くからお前はさっさと部屋から出ろ!」
「はいはい、ロビーで待ってるね〜」
叶兎くんに無理やり押し出されるように春流くんは部屋から出て行った。絶対誤解されたままな気がする…。
まあ確かに、昨日何もなかった訳じゃないけど…。
……叶兎くんも、そういう事考えるのかな
………って待て待て、何を考えているんだ私は。
「じゃ胡桃、俺はもう出るけど、何かあったら連絡して」
『あ、うん。いってらっしゃい』
叶兎くんはそっと私に触れるだけのキスをして
「なんか新婚夫婦みたいでいいね、これ」
なんて言い残して部屋を出て行った。
私は時差でぶわっと顔が熱くなって、もう一度布団を被った。

