【side胡桃】







カタカタカタ、と何かの音が聞こえる。

…キーボードの…音…?


『……』


音のする方に体を向けると、
叶兎くんが正面のデスクでパソコンに向かっていた。


『……何で私の部屋に…叶兎くんがいるんだろう…?』


寝起きで頭の中がフワフワして、思ったことがそのまま口に出る。


「あ、起きた?おはよう、胡桃」


私が起きた事に気づいた叶兎くんがくるっと椅子を回転させてこっちに視線を向けた。

そして、私の部屋にパソコンデスクなんて無くないか?
と、少しづつ頭が働いてきた私

………。

少しづつ、昨日の事を思い出してきて、
ぼーっとしてた目が一瞬で覚めた。


……穴があったら入りたい。


昨日の夜、雷に怯えてベッドに飛び込んでしまった自分、
あんなに甘えてしまった自分を思い出すと、恥ずかしさで顔が熱くなる。



『あの…昨日はご迷惑を……その…昨日の事は忘れていただいて…』


言いながら、自分でも何を言っているのか分からなくなるくらい動揺していた。


「迷惑なんて思ってないよ。頼られるの普通に嬉しいし」


叶兎くんが良くても私は大丈夫じゃないです!!
雷で怖がるとか、小さい子じゃないんだし…


「あと、可愛い胡桃の姿見れたし」

『な…』

「ま、いつでも頼ってよ。俺の彼女なんだから」