男の子がいきなりずいっと顔を覗き込んできて、
思わず一歩後ずさる。


「おい、あんまり近づくと叶兎に殺されるぞ」



桐葉くんが男の子の肩を掴んですぐさま引き剥がした。
叶兎に殺されるぞってそれちょっと語弊が…



「叶兎?……へーそういうこと…なんっか叶兎みたいな匂いすんなって思ったけど、まさかあの叶兎がねぇ…」



な、何それ…!!?

さっき叶兎くんと一緒にいたから…?!

そんなのぱっと見でわかるもんなの…



「俺は九条秋斗(くじょうあきと)。WhiteLillyのメンバーだから、よろしく」

『九条、秋斗…。朝宮胡桃です、よろしく!』



前に見たWhite Lillyのメンバー表に、
確かそんな名前が書いてあった気がする。
秋斗っていう名前も何回か聞いた事があった。



「秋斗、ちょうど今叶兎が生徒会室にメンバーを呼んでくれてる。今から来れるか?」

「あぁ、分かっーーーー」



ブーッと、九条くんのポケットに入っていた携帯の通知が鳴った。
画面を見た九条くんは一瞬顔を顰めてから携帯をポケットに戻す。



「少し用事が出来た。終わったらすぐ行くから先行っててくれ」

「分かった。胡桃、残りの予算案は俺が回収しに行くから教室戻っていいぞ。ありがとな」

『あ、うん!分かった。また後でね』



持っていたバインダーを桐葉くんに預けて、私は自分のクラスへ戻ることにした。