胡桃の血は、正直贔屓目なしに今まで飲んできた血とは比べ物にならないくらい美味しかった。

本人は純血と言っていたけど親が隠している可能性だってある。


純混血の人間と交わす契約は、普通とは違う。言葉で表すのは難しいが、契約を交わした吸血鬼と人間は常軌を逸した力を得る。

朔がそれを狙っているのなら、この街がどうなるか想像するのも恐ろしい。


数年前にBlackSkyの総長が失踪して、天羽朔が現総長となってから、随分と荒れた悪質な組織へと変わってしまった。


朔、昔から仲は悪かったけど、こんなにも横暴な奴ではなかった。

…いつから変わってしまったのだろうか。



俺が先に胡桃と契約するっていう手もあるけど、契約にはそれ相応のリスクがあるし、こんな理由で交わすのは嫌だった。








…けど数日後、この選択を後悔する日が来るなんて


この時の俺は思ってもいなかった。