【side叶兎】



胡桃をベットに引き込んで、がばっと頭から布団を被った。

狭い空間に閉じ込められたような感覚。すぐそばで胡桃が肩を震わせている。

腰に手を回して抱き寄せると、華奢な身体がびくっと反応して、それでも必死に俺の服を掴んで離さなかった。


「ゆっくり深呼吸して。大丈夫、そばにいるから」


耳元で囁きながら背中をさすってやると、乱れていた呼吸が少しずつ整っていく。
それでも、胸に伝わる鼓動は早くてまだ恐怖が拭えていないのが分かる。


胡桃が雷を苦手にしいているのは予想外だった。

出会ったばかりの頃、友達を人質にされたときも、自分の足で飛び出していった。敵組織に追われても、女子に嫌味を言われても、受け流せるくらい肝が据わっているのに。

…でも、こうして弱さを見せてくれるのも……正直、嬉しい。



…今夜の雷は随分と激しいな

俺ですら思わず肩をすくめるほどの音だった。


雷鳴がまた空を裂いて、布団の外から光が差し込んだ瞬間、胡桃がぎゅっと強く俺の袖を握りしめた。



え、何、可愛いんだけど



こんな時にこんなこと考えてるのもどうかと思うけど、
好きな人が自分を頼ってくれたら誰だって嬉しいだろう。