総長は、甘くて危険な吸血鬼



事情を説明して、ひとまず今夜はケータイを預かってくれることになった。この電話がどこからの電話なのかも明日調べてくれるらしい。そんなことまで調べられるなんてWhiteLilyってほんと何者…


「この数の通知じゃ多分故意にかけてきてるね。…通話には、うん。出ない方がいい」

『分かった、色々とありが──』


その時。

──ゴロゴロゴロッ

夜空を切り裂くような雷鳴が響いた。
窓の外が一瞬、黄色く光に包まれる。


『ひっ…!』


身体がびくりと跳ねる。
次の瞬間、雨脚も激しさを増し、轟音となって部屋を揺らした。


ど……

ど、どうしよう…………雷……っ


「胡桃?どうしたの?胡桃!?」


私いつもどうしてたっけ、どうやって過ごしてたっけ…

ダメだ、足も手も、急に震えて動けなくなっていた。

雷の音を聞くと、小さい頃からどうにも冷静でいられなくなる。


叶兎くんの声が遠くに聞こえた。
何度も経験したはずなのに、毎回どうしていいかわからなくなる。


「胡桃!」

『あ…叶兎く…』

「おいで」


気づけば、ぐいっと腕を引かれていた。

そのまま温かなベッドの上に引き入れられ、叶兎くんの体温に包まれる。