──コンコンコン。
「誰?」
すぐに部屋の中から声が返ってきた。
どうやらまだ起きていたみたいで、胸を撫で下ろす。
『胡桃です。ちょっといいかな?』
「…入っていいよ、開いてるから」
開いてるの…?!
…開けっぱなしってちょっと物騒では?と思いつつ起きててくれてよかったという安心感を抱きながらそっと部屋に入る。
「珍しいねこんな時間に来るなんて」
布団から体を起こした叶兎くんは、ベッドの端に腰掛けてこちらを見ていた。
部屋着姿が不意に大人びて見えて、思わずどきりとする。
『ごめん、こんな夜遅くに』
ノックした後すぐに返事があったけど布団に入ってたってことはもしかして起こしちゃったかな。
今の時間はちょうど深夜24時を過ぎた所、起こしちゃったならちょっと申し訳ないかも…。
「何か困ったことでもあった?…それとも夜這いしにきたの?」
『夜っ…?!ち、違うからっ!』
「あはは、俺は歓迎するけどね」
も、もう…。
いつも通り軽口を叩く叶兎くんに、心臓がばくばく跳ねてしまう。
夜這いて…私まだそんな心の準備できてないし………
って何考えてんの私!!
叶兎くんが変なこと言うから、そんなつもりで来た訳じゃ無いのに変にドキドキしちゃって、少し距離を空けて叶兎くんの隣に座った。

