食事を済ませた後、いつもの身支度を済ませて私は自分の部屋のベッドにボフッと倒れ込んだ。
特に何かしたわけでもないけど、今日は一段と疲れている気がする。
転校してきた新しい環境にもだいぶ慣れたと思ったけどそうでもないのかなぁ。
外では雨が強く降っているようで、静まり返った部屋には雨音と時折の風の音が大きく響いていた。
『明日も文化祭の準備で忙しいし、さっさと寝よ…』
そう言って布団に入ろうとした時、
──ブー、ブーッ
ケータイが震えて、画面が明るく光る。
眠そうな目をこすりながら覗き込むと、
表示されたのは「非通知設定」。
…まただ。
ここ最近、非通知の電話が定期的にかかってきている。
一週間くらい前からだろうか。
最初はイタズラだと思って気にしなかったけど、毎日、何度も繰り返されると……さすがに不気味だ。
出る勇気はない。
でも、無視し続けても落ち着かない。
『叶兎くん、まだ起きてるかな…』
なんだか急に怖くなってきて、このケータイを誰かに預かっていてもらいたくなった。
ふと、顔が浮かんだ。
“何かあったらいつでも言って”──そう言ってくれた叶兎くんの言葉。
気づけば私はケータイを握りしめ、叶兎くんの部屋の前に立っていた。

