総長は、甘くて危険な吸血鬼




「一般生徒は立ち入り禁止のはずだけど。どうやって入ったの?」


その声音は低く、冷たかった。

教室で見せていた柔らかな笑みとは違う。
纏う空気は鋭く張りつめていて、まるで人が変わったような威圧感を放っていた。


…なんか、私すごく警戒されてる?


『あ、えっと、私の部屋、906号室で…』


別に嘘をついてるわけでもないのに、ー視線に射抜かれると喉が渇いて声がうまく出ない。


「906号室?新しく人が来るなんて聞いてないけど。この場所で嘘は通用しないよ」


『いや、嘘じゃなくてホントに!』



じり、と春流くんが近づいてくるたびに心臓の鼓動が速くなる。
私は無意識に後ずさった。



「まだ他のみんなは気づいてない。今なら逃してあげるから、罰を受けたくないならさっさと帰りな」


『でも、私の部屋、確かにここなはずで…』