「っどけ!」
『えぇっ?!ちょ、』
ぶつかる寸前、大きく一歩前にひょいっと避けると男の子はそのまま勢い余って壁に直撃。
ドンッと重たい音が響き、彼はその場に尻もちをついて頭を抱えた。
「っってぇ…!」
男の子は頭を抱えながらその場に座り込む。
『あ、あの…大丈夫ですか?!』
「どう見ても大丈夫なわけねーだろ!」
ぐわっと顔を上げて怒鳴られ、私は肩をすくめた。
やばいこの人めっちゃ怒ってる。
……ん?……いや、これ、私悪くないよね!?
階段の手すりを乗り越えるなんて危険行為した方が悪いような…
『か、階段は…普通に歩いた方がいいと思いますよ…?』
「あ?」
冷たい視線に射抜かれて、思わず息をのむ。
……どこか初期の叶兎くんを思い出させる、棘のある空気。

