【完】総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅰ



私のささやかな抵抗は全く意味をなさなかったようで、どんどん顔と顔の距離が近くなる。

な、流されるな私…!!



『こっ…これ以上は…だめ、です…!』



多分私、今顔真っ赤になってると思う。


今度こそキスをしようと顔を近づけてきた叶兎くんの口元を、両手でペタッと塞ぐようにして精一杯拒絶してみせた。

すると叶兎くんは驚いたように目を丸くし、一瞬だけ動きを止め──そして次の瞬間、爆笑した。



「あははっ、冗談だよ安心して」



か、揶揄われた…!!!

体を起こした叶兎くんが差し伸べた手を掴んで、私も体を起こす。

目の前に座り直した叶兎くんはもういつもの調子に戻っていて、余計に悔しい。



『…いじわる!』



思わずぷっと頬を膨らませて抗議した。

いっつも叶兎くんのペースに乗せられてしまう私、もしかしてちょろいのか…?

いや、叶兎くんが悪い!



「好きな子いじめたくなるのって普通だと思うけど?胡桃が可愛いのが悪いんじゃん」



なっ…!

この人は、その、またそうやって簡単にそういうことを…