私のささやかな抵抗は全く意味をなさなかったようで、どんどん顔と顔の距離が近くなる。
な、流されるな私…!!
『こっ…これ以上は…だめ、です…!』
多分私、今顔真っ赤になってると思う。
キスしようとしてきた叶兎くんの口を塞ぐように両手を前に出して精一杯の抵抗をすると、叶兎くんは驚いたのか、一瞬動きを止めた。
少ししたら突然叶兎くんが笑い出して、揶揄うように言った。
「あははっ、冗談だよ安心して」
か、揶揄われた…!!!
体を起こした叶兎くんが差し伸べた手を掴んで、私も体を起こす。
目の前に座り直した叶兎くんはもういつもの調子に戻っていて、余計に悔しい。
『…いじわる!』
思わず抗議した。
いっつも叶兎くんのペースに乗せられてしまう私、もしかしてちょろいのか…?
いや、叶兎くんが悪い!
「好きな子いじめたくなるのって普通だと思うけど?胡桃が可愛いのが悪い」
なっ…!
この人は、その、またそうやって簡単にそういうことを…

