最初は、超態度悪い嫌な奴って思ってたけど
誰かのために動けて、守ってくれて、真っ直ぐに気持ちを伝えてくれて、私の知らない世界を見せてくれて──
この気持ちを、教えてくれた。
『わ、私は…』
「うん…？」
真っ直ぐ気持ちを伝えてくれたんだ、私もちゃんと、言わなきゃ。
『…好き。叶兎くんのことが好──…んっ、ちょ、叶兎く…？！』
私が言い終えるより先に、ちゅ、と軽くキスされた。
唇が触れた瞬間、更に心臓が大きく跳ねる。
叶兎くんの顔を見ればクールな表情を保っているつもりなんだろうけど口角が少し上がっているのがバレバレだ。
「はー……良かった」
その表情を隠すように、叶兎くんは私の首元に顔を埋める。
『良かった…？』
「もし俺の勘違いなら拒絶されるかもって覚悟はしてたんだよ？」
『きょ、拒絶って！そんなことしないよ！』
私が慌てて否定すると、叶兎くんはふっと息を笑いに変えた。
