「ばいばーい!」
「また明日ね!」
『うん!また明日!』
転校初日は、隣の席の人の態度が最悪って事以外は特にトラブルもなく終了した。
今挨拶を交わしたのは前の席の宮代 心音ちゃんと、その前の席の音瀬 瑠奈ちゃん。
赤羽くんと春流くんはどうやら女子から絶大な人気を誇っているらしく、その間に挟まれている私はどことなく距離を置かれている気がしていた。
そんな中でも、この二人は気さくに話しかけてくれて
正直、心から救われた。
心音ちゃんは高い位置で結んだツインテールがよく似合う、いかにも女の子らしいタイプ。
一方の瑠奈ちゃんはショートカットで、明るくボーイッシュな雰囲気を持っている。
転校の時期が時期だけに友達ができるかどうか不安だったから本当に、よかった。
『とりあえず次は寮に行かないとだよね。部屋の鍵は…』
誰もいなくなった教室で、寮の部屋のカードキーをポケットから取り出して部屋の場所を確認する。
『えーっと…906号室か、ってうわ、ここ最上階じゃん』
校内の地図を見てみれば906号室は寮の最上階にあって、私なんかが使っていいのかと一瞬躊躇う。
そんな事を思いながら長い廊下を抜け、寮のエレベーターに乗り込んだ。
広々としたエレベーターの壁には大きな鏡が張られていて、頭上には小さなシャンデリアが揺れていた。最上階に降り立てば、赤いカーペットの敷かれた廊下が正面に伸びている。
白星学園の敷地は広くてエリートが多い学校ってことは聞いてたけど、もはやお城だ。
9階の廊下を進むと、一つだけ大きな扉が現れた。
『…なんでドア1つしかないんだろう』
まさかこの最上階に1部屋な訳ないし…
近づいて扉横の看板を見れば、
900、901、902、903、904、905、906号室、生徒会室
と書いてある。
『7人部屋…?』

