『叶兎くん、お風呂ありが…』


雨に濡れた体をシャワーで洗い流して濡れた髪をタオルで拭きながら浴室を出ると、部屋の中央のベッドで叶兎くんが寝転んでいた。

とりあえず、ハンガーに濡れた制服をかけて部屋に干しておく。


勿論着替えなんて何も持ってないので乾くまでの間は洋服を貸りてるけど、ブカブカのTシャツと短パン…これどう見ても叶兎くんの服…

…叶兎くんはこういうの気にしてないのかもしれないけど、着てる私はどうも落ち着かない。



『叶兎くん、寝てる?』



近づいてもう一度声をかけてみるけど返事は無い。


にしても、ここまでリラックスしてる叶兎くんは初めて見たかも。いつも生徒会長として、リーダーとして気を張ってるというかなんというか…

起こすのも悪いし、叶兎くんが目を覚ますまでソファーで座って待ってようと一瞬背中を向けた瞬間──

右腕をグイーっと後ろから引っ張られて、倒れかけた体を支えようとベットに体重をかけると、そのまま引っ張り込まれてスポッと叶兎くんの腕の中に捕まってしまった。



『あ、あの、叶兎くんいつから起きて…』

「んー、最初から?」