『はー…どうしちゃったんだろ私…』


さっきから叶兎くんのことが頭から離れない

そう、さっき、好きと言われてから。


お手洗いは建物の3階にあって、済ませた後エレベーターのほうへ戻ろうとした時、少し空いたドアの部屋から話し声が聞こえた。



「凛、元気にしてた?」

「うん。でも全然帰ってきてくれないじゃん!さみしい」

「ごめんね、こっちも色々忙しくて」



………この声、

聞き間違いじゃなければ、叶兎くん?

でも、じゃあ一緒にいる子は誰…?



盗み聞きが良くないのはわかってるけど、立ち止まらずにはいられなかった。



「ここのみんなとは仲良くやれてる?」

「うん!みんなやさしーよ」

「そっか、それなら良かった」


何か……いつもと違う

優しい声のトーンに、優しい口調



「じゃあ、今はちょっと待たせてる人がいるから少しだけね」



かすかに開いているドアの隙間から部屋の中を除いてみると、2人の人影が見えて…










____女の子が、叶兎くんの血を、吸っていた。