俺達三人から始まったKOKUDO。

俺は初代総長となった。

最初は本当に遊び気分だった。

三人で夜の街をバイクで走り抜け、他の暴走族とかが喧嘩を売ってきたら即喧嘩をする。

來翔も滉大もとても喧嘩が強かった。

俺は父親に格闘術やら柔道、空手、合気道とヤクザの組長を継ぐ跡取りとして育てられていたから、喧嘩の腕は上等だった。

やがて、俺達のKOKUDOは三人だけじゃなくて、黒堂に通うほぼ全員の不良が入ってきた。

その数六百人以上。

それは昔も今も変わらない。俺は大人になった今も、この暴走族の総長をしている。何もない俺には、このKOKUDOという名の暴走族だけが、自分が自分でいられる唯一の居場所だった。

それは來翔も滉大も一緒だ。

大人になった今も、大学に通いながら暴走族の副総長、壱番隊隊長として俺の傍にいてくれている。

高校の時、三人だけで遠くまで出掛けたことがあった。無機質な工場の光が、俺の寂しかった心をだんだんと埋めていってくれた。


『おい、裕翔。今度俺達三人だけでバイク鳴らそうぜ。いっつも大勢だしよ』


滉大の提案で、俺達は3人だけでバイクを鳴らすことにした。

風が頬を素早く駆け抜ける。

夜の街が妖しく光る中、俺達は最高速度で走り抜ける。キラキラとした綺麗な夜の街から遠ざかり、俺達が向かう場所は決まっていた。