だもん、って。裕翔さんは大人っぽく見えるせいかその言葉遣いがとても可愛く見えてしまう。突然了承もなくキスしたことに悪びれもせず、やっちゃった、とおどけている裕翔さんを信じられないという瞳で見つめた。


「だからってなんで……」

「ほら、もういいでしょ。早く食べなきゃまた口移しするよ?」


そう言って裕翔さんは首を傾げた。さっきから私の心臓がキュンキュン鳴ってうるさい。


「じ、自分で食べます!」


そう言いながら私は裕翔さんが淹れてくれた紅茶を飲み干すようにして口に流し込む。

何だか普通の紅茶より味が変わったものだったから不思議に思ったけれど、それを深く考えることなく流した。

でも、何だかそれを飲む前よりも頭がふわっと浮くような感覚に襲われる。そして、頭の中から何かがそっと消えるようにして、なくなった。


「ほら、全部あげるから機嫌直してよ」


裕翔さんは、そんな私を見つめながらそう言った。その瞳に映る色が、怪しげに光っていたことを私は見逃してしまっていた───。