私はコクンと小さく頷く。

まだ緊張が解けないのは、目の前にいる山海さんのせいでもあるけれど、大きくて立派な長い机に沿って置かれている高級そうなソファに座っている人達からの視線のせいでもある。


「桜十葉、こいつはKOKUDOの副総長だ。そして、この部屋にいるヤツらは全員幹部のヤツらだ」


へっ!?ってええー!?

また出てきた新しい単語に私はまたもや驚いてしまう。


「まあ、いわゆる特攻隊の隊長とか副隊長とかの人たちだ。君、桜十葉って言うんだね」


山海さんは裕翔くんの説明に付け加えをしてくれたらしいのだが、それを聞いてもっと訳が分からなくなってしまったのは申し訳ない。


「わぁ〜!君、とっても可愛い。俺は如月來翔歳!歳はいくつ?ちなみに俺は今二十二歳!」


な、なんと……。裕翔くんの同い年の大人がここにもいたのか。


「おい、來翔。俺の桜十葉に近づくな」

「ひぃー、怖ぇ」


そんな事を言っているけど、來翔と呼ばれた銀髪の男の人は怖がっている素振りなんて一ミリもなかった。

この人達はきっと、裕翔くんがヤクザの息子だと知った上でこんな風に接してくれているのだろう。とても、優しい人達だ。


「桜十葉、こいつの事なんて直ぐに忘れてもいいんだけど…。來翔は壱番隊隊長を務めている」