私はまだまだ裕翔くんの事を知らない。
その事がちょっと寂しかったりするけど、裕翔くんが言ってくれるまで私は待っていよう。
そんなことを考えていると、目の前にはもう店員さんがパンケーキを置いている所だった。
「わぁ!美味しそうだね!」
「うん」
私は早速ナイフでパンケーキを一口サイズに切って口へ運ぶ。
口の中でいちごの甘酸っぱさとチョコの甘さが合わさって、とても美味しい。
「ん〜!!美味し〜っ…!」
私はそのあまりの美味しさに頬を緩める。
裕翔くんの方を見ようと前を見ると、裕翔くんの手が私の顔に迫ってきているところだった。
裕翔くんは私の口元に付いていたクリームを拭って、それをペロッと舐めた。
あまりの自体に一人、あわあわしていると、裕翔くんが優しく笑った。
「桜十葉、すっごく可愛い。俺、桜十葉食べたい」
た、食べたいっ!?
その言葉の意味を理解して真っ赤になる顔。
裕翔くんはそんな私を見て満足そうに笑っていた。
「ひ、裕翔くんっ!そのパンケーキ、食べないと私が食べちゃうよ!」
裕翔くんは一瞬キョトンとした後、そのパンケーキを1口サイズに切って私にあーんとする。
「ほら、食べていいよ?元々一緒に食べる予定だったし」
どんどん近づいてくるパンケーキを私はパクッと口にする。さっきとはまた違う甘さが口の中で広がる。