何分か歩くと可愛らしい外装のパンケーキ屋さんがすぐそこに見えていた。


「あ、あれだな。桜十葉は甘いものが好きなの?」

「う、うんっ!大好き!」

「そっか。桜十葉が好きなら、俺も好き」


そう言って優しく笑う顔がとてもかっこよくて思わず目を逸らす。

そんなこと言われたら照れちゃうよー!

裕翔くんは私がドキドキしてることを知ってそんなに甘い言葉を言っているのかな……。

だとしたら私にとってそれはとても重大なことだ。

案の定、お店の外には程遠い行列が出来ていて私は思わずため息をついてしまう。

でも裕翔くんはそんな私にお構い無しに店内へと入っていこうとする。


「ひ、裕翔くん?ここね、予約しないと入れないかもしれないんだよね……」

「何、そんなこと気にしてたの?大丈ー夫だよ。ほら、行こう」


そう言って裕翔くんは私を引き連れて店内へと入る。そんな裕翔くんに店員さんが駆け寄ってきて何だかあわあわと慌てている様子。


「俺、坂口裕翔。まだ席、空いてる?」

「さ、坂口裕翔様でいらっしゃいましたか!大変失礼致しました。さあ、こちらへ」


裕翔くんの事を注意しようとしたらしかった店員さんは、とても怯えた様子でオドオドと席に案内した。

私はそんな光景を不思議に思いながら、案内された席に着いた。裕翔くんは、一体何者なんだろう。