「裕翔、……くん」
恥ずかしそうに言った桜十葉の可愛い声。でもその後に続いた言葉に思考が停止する。
「なーに?」
なるべく、冷静になるんだ……。テンパったりしたらかっこ悪い。
「ううん、呼んでみただけだよ」
そう言ってもう一度顔を埋めた桜十葉の顔は恐らく真っ赤っかだろう。俺のこと、頑張ってくん付けで読んでくれたんだ……。
そんなことを思うと変な気持ちになってしまうからやめて欲しい。そんな煩悩に囚われながら、俺は自分の車に桜十葉を乗せて、家まで向かった。
***
車を俺の家のガレージに駐車して、運転席から降り、反対側のドアを開けて助手席に座る桜十葉に手を差し出した。
桜十葉はまだ恥ずかしいのか、恐る恐るといった感じで俺の手に触れて、車から降りる。
そして家に着いた時にはもう、理性が壊れそうだった。ガチャリと鍵を開けて、俺は桜十葉をおんぶしたまま家の中に入ってベッドのある部屋へと向かう。
「ひ、裕翔くん?もう、下ろしていいよ…?」
「だーめ」
もう一度名前を呼ばれた時にはもう、俺の理性なんてものは虚しく崩れ去った。
桜十葉をベッドに押し倒して、強引に唇を奪う。甘い声が寝室に響く。
あー、やば……。頭くらくらする。
俺は何度も角度を変えて桜十葉に口付けをする。
もう、そこに俺の理性なんてものは存在しなくて、桜十葉の制服のボタンを外していた。