明梨ちゃんはそんな私を見て、ふふん、と得意げに鼻を伸ばしていた。

ハンバーガー食べるの、何年ぶりだろう?

高校生の時までは両親がハンバーガーを食べることにめちゃくちゃ反対していたから食べれなかったのだけれど、実は一度だけ子供の時に食べたことがあったのだ。

条聖学院の帰り。その日は明梨ちゃんの家の車で送ってもらったのだけど、私の家に帰る前にハンバーガー屋さんに寄り道をしてもらったのだ。

その時に食べたハンバーガーが忘れられなくて、いつしかそれは私がもう一度だけ食べてみたいものになったんだ。

私たちは明梨ちゃんとルイスさんが買ってていてくれたお昼ごはんを大きなテーブルで食べ始めた。

やっぱり、屋台も有名なレストランのメニューが並んでいたからなのか、すごく美味しそうだ。


「桜十葉、ベーコンハムエッグが好きなんだね。俺、今初めて知った」

「うん。私も言ったことなかったかも」

「じゃあこれからはもっと教えてね。桜十葉の好きな食べ物とか好きなこととか」


裕翔くんは美味しそうなナポリタンを食べながら、私を優しい目で見つめた。


「もちろんだよ。でもちゃんと裕翔くんのことも教えてね。いっつも私のことばかりなんだから、…」


私がそう言うと、隣りに座っていた明梨ちゃんが私の肩にバシッと手を置いた。