そこにはどうしたって“危険”と“不安”が存在している。

だから、普通のカップルのように堂々と表に教えることは出来ないし、何かのすれ違いがあったらその脆い関係の糸は、すぐに切れてしまうかもしれない。

だけど、それでも私は、あなたから目移りなんてしない。

私と裕翔くんが同じ年に産まれて、同じ時代を生きて、同じクラスメイトだったら私たちは沢山の我慢に縛られることはなかったのかもしれない。

今の私には、裕翔くんと体を重ねて愛し合うことも、大切な友達に裕翔くんの本当の正体を告げることも、出来ない……。

我慢させてるって、分かってる。だけど、これ以上は私の周りの人たちへの罪悪感を抱えきれないから。裕翔くんも、そんな私をちゃんと受け入れてくれている。

裕翔くんの嫉妬は、他の男の子たちとは全く違う。重くて、黒くて、苦しい。だけど私は、そんな嫉妬に溺れていたい。

裕翔くんが求める女性が、私だけであってほしいと思う。


「俺さ、怖かったんだ……。桜十葉があいつと抱きしめ合ってるの見た時、もう俺は捨てられたんだって思った……。だけど、…ごめん。これじゃあ俺が、桜十葉のことちゃんと信じてないみたいだよね…」


裕翔くんは眉をしかめて、苦しそうな表情でそう言った。


「ううん、……!裕翔くんは謝らなくていい!私が、裕翔くんを傷つけた……」


私の瞳から、涙が溢れる。