「それに、兄貴のこと裕希って呼んでた。俺のことはまだ呼び捨てで呼んでくれたことないのに」


裕翔くんの不機嫌さがどんどん増していく。


「裕翔くん、呼び捨てで呼ばれたいの?」

「当たり前でしょ。兄貴だけ呼ばれててめっちゃ嫉妬した。どうやって責任取ってくれるの?」


裕翔くんはさっきまでの不機嫌さはどこかへ置いてきてしまったのか、意地悪な表情で私の反応を楽しんでいるみたいだった。


「え、えと……っ!?」


私がどうやって責任を取るのか考えていたら、突然裕翔くんが私の首筋に噛み付いた。


「ひ、裕翔くんっ!?何してるの!?」


今まで裕翔くんにキスマークを付けられたことも、噛みつかれたこともなかったからすごく驚いた。噛む強さは弱いはずなのに、裕翔くんが噛み付いた跡はしっかりと私の首筋に残ってしまっている。


「これで、桜十葉は俺のだね」


裕翔くんはほんのりと色づくピンク色の頬で私のことを虚ろな瞳で見つめた。

まさか、……


「裕翔くん、酔ってる!?」


そう言えば、さっき私がお風呂から上がった時に何も入ってないガラス瓶が机に置かれてた気がする!

でも裕翔くん、普段からお酒はあまり飲まないのにどうしたんだろう?もしかして、私が原因?