今まで抱えていた悩みは、案外簡単に解けてしまうものなのかもしれない。

人と人との間のわだかまりは、時間が経てば立つほどに鋭く尖っていく。自分の大切な人に拒否されることを怖がって、もう一度交わることを遠ざける。

でも、そうしたらだめなんだ。ちゃんとぶつかり合って、お互いの気持ちを伝えないと未来はいつまでも変えられない。

コンコンコン、……。私たちの居る部屋の扉がノックされた。


「おーい!もうすぐ一時間経つけどもう行けそー?」


相変わらず元気な來翔さんの声が部屋の外から聞こえてくる。


「ったく……あいつは」


裕翔くんは困ったような笑みを浮かべて、ベットから降りた。私と手を繋いで、部屋の扉へ歩いていく。

扉を開けると、疲れ切った様子の來翔さんの綺麗な顔が覗いた。


「はぁ〜、お前らラブラブしすぎ!早く行くぞ!」


私たちの繋がれた手を見て、來翔さんがため息を吐く。

外に出ると、KOKUDOの暴走族のみんなが綺麗に整列していた。みんなそれぞれ自分のバイクを持っていて、驚いた。

裕翔くんは、突然私をお姫様抱っこで抱き上げた。


「へっ!?」

「桜十葉、落ちないようにしっかり捕まっててね」


そう言う裕翔くんはいつも通りで、ドキドキすると同時に、すごく安心する。

裕翔くんの通る道が自然に作られていく。