キス、したい。早く桜十葉とキスしたい。本当は、ずっと思っていた。その柔らかそうなピンク色の唇を俺ので塞いでしまいたい。
『あーあ、泣き止んじゃったね。キスしたかったのに』
『ほ、他の男のために泣く泣き顔は好きじゃないって……、言ったじゃないですか」』
桜十葉のことがすごく愛おしい。今はこの感情差が少しだけ寂しいけれど、すぐに俺のところまで桜十葉を連れていく。
『そーだね。泣き止んでくれてよかったよ』
こんな野獣の目の前で従順に従ってしまっている桜十葉が可愛い。
『ほら、桜十葉は何が食べたい?』
せっかく桜十葉のために色々用意していたから、沢山食べてほしい。それに、今の桜十葉はすぐにでも折れてしまうんじゃないかと思うほど細いのだ。
もっと脂肪を付けて健康体にならないと……。
ってか俺、めっちゃ変態みたいじゃねぇか?
心の中馬鹿みたいな考えを浮かばせながら桜十葉のことを見つめていた。
『チョコレートが食べたいです……』
恥ずかしそうに言った桜十葉を横目に見ながら、俺はそのチョコレートを自分の口の中に含んだ。何か、桜十葉とキスできる理由がほしかった。
こんなんじゃ、理由にもなっていないと思うけれど……。
『んっ……!』
俺は自分の欲望に勝てずに、桜十葉の唇に自分の唇を重ね合わせた。人生で初めて、キスをした。
俺にとってのファーストキスは、桜十葉。君なんだよ。