仲間がいるのは、あちらも同じみたいだった。玖音咲羅の隣に立つスーツを着た長身の男が眼鏡をくいっと上げたその時、バーンッ!!という銃声が、倉庫中を響き渡った。
『始めようじゃないか!!俺たちのディナーを』
玖音咲羅は月光に照らされる銀の髪を掻き分けて、興奮した声で叫んだ。
『ふっ、何クセェこと言ってんだよ』
それに裕翔くんが馬鹿にしたような低い声を出した。
スーツを着た男たちが、皆銃を持って私たちを囲むようにして並んだ。
『お前たちは今、鳥籠の中にいる。もう、最初から勝敗は着いているだろう!!』
玖音咲羅がそう言った瞬間、お互いが勢いよく走り出した。格闘術、ナイフ、拳銃。
どんどん、どんどん、殺されていく。これはもう、喧嘩なんかじゃ、ない……!!これは、『殺し合い』だ!!
恐怖で身が縮み、歯がガタガタと音を鳴らす。裕希さんも、裕翔くんも、その殺し合いの中に身を投げていく。裕希さんが、人を殺している。裕翔くんが、人を殺している。
それがどんな悪党でも、自分の手でその人の命を終わらせるのは、間違っている。
私は恐怖と絶望の中、一歩も動き出せずにいた───。
スーツを着た男が、私に向かって銃口を向けた。
何も出来ずにただしゃがみ込む私と、背筋を真っ直ぐにして堂々と立つ男の人。