「っ、やめて……!!なんでこうなってるのかまだ分からないけど、それでも傷つけ合うのは良くないよ!!」


まだ十六年しか生きていないけれど、人生の中で1番勇気を出した。

私は殴り合う二人の間に割って入った。


「っ、はぁ、はぁ……桜十葉、そこをどけ」

「やだ!!どかない!!」

「こいつにはしっかり痛みで思い知らせなきゃなんねーんだよ」


今までにないくらい、裕翔くんにとても鋭い眼光で睨まれる。

これが、暴走族の総長の裕翔くんの姿なのかな……。


「私、人を殴って傷つけてしまうような裕翔くんは好きじゃない……!もう、裕翔くんが傷ついてる姿を見るのは嫌なの……っ!だから、もうやめて……」


泣きそうになる気持ちを押し殺して、裕翔くんの瞳を真っ直ぐに見つめた。


「っ……、ごめん」


裕翔くんは、顔を歪めて私を抱きしめた。

抱きしめる力をどんどん強める。


「でも、…私はね、どんな裕翔くんでも、ずっと大切にしたいって思ってる」


裕翔くんの体が、ビクリと震えた。


「いいねぇ〜、二人ってそんなにラブラブなの?俺が入る隙とか、ねーじゃん……」