その後、また裕翔さんに存分に甘やかしてもらって、私を家まで送っていくという裕翔さんと大豪邸をあとにした。
もうすっかり空が薄暗い青色になっていて、今が夜だということが分かる。
お母さんやお父さんが私のことを心配しているかもしれないから早く帰らないと……!
「甘えたくなったらいつでも来ていーからね」
裕翔さんの手が私の手を甘く包み込む。私の小さな手は、裕翔さんの大きな手に包まれて温かくなった。
私を見つめる裕翔さんの表情は、すごく優しい。
「ところで、……裕翔さんって何歳くらいなんですか?」
唐突に、聞いてみたくなった。私は興味津々といった表情で裕翔さんを見つめる。
「あ、それ聞いちゃう?」
「あ、聞いたらマズかったですか?ご、ごめ……っ」
「二十二歳のふつーの大学生だよ」
"ふつー"という言葉に引っかかったが、聞いたらマズかったのかという思いが頭に過ったから、聞いても良かったということに安心した。
22歳、…かぁ。私とは6歳も大人なんだなぁ。
「桜十葉は?高校生でしょ」
私の着ていた制服でそう分かったのか裕翔さんはいたずらっ子のような顔を向けてきた。
「大人のおにーさんは好きですか?桜十葉ちゃん」