震える声でイザベラは言い、逃げるように教室から出ようとする。だが、それをレオンの腕が強く阻んだ。

「……待って」

たくましい腕の中に囚われ、イザベラの胸が苦しいほど音を立てる。頬だけでなく顔中が赤く染まる中、レオンの口が動いた。

「必死に隠していたけど、私だって同じ気持ちだよ。イザベラとずっと一緒にいたくて、放課後の特別授業の時間が永遠だったらと何度も思った。イザベラの全てを知りたくて、全てを独り占めしたくて、大人のくせにこんなことばかり考えてる」

イザベラの目が見開かれる。さらに、耳元でレオンから想いを伝えられ、決して悲しくないというのに涙が頬を伝った。

「先生、私は先生のそばにいてもいいんですか?」

「もちろんだよ。というより、そばにいてくれないと私が困る」

レオンの方を見れば、彼は無邪気な子どものような笑顔をしていた。初めて見る表情に、イザベラの顔にも笑みが浮かぶ。

愛されなかった魔女と、愛されている魔法使いの唇が、今重なるーーー。