「先生、その腕……」

イザベラが呟くように言うと、レオンは「大したことないよ」と笑う。その態度にイザベラはムッとし、ブレスレットを外して杖を向ける。

「えっ、イザベラ……」

「大人ってズルいです!子どものことは心配するくせに、自分が怪我をしたら「大丈夫」って誤魔化して。先生が怪我をしたのは私のせいなのに!それに、子どもは「あなたを独り占めしたい」とか「私のことを見てほしい」とか先生に対する感情でいっぱいなのに、大人の先生は余裕で、悔しいです……!」

話していると、また気持ちが溢れて涙が溢れてしまう。思っていること全てを口にし、息を切らしてしまったイザベラは小さな声で回復呪文を唱え、レオンの腕の傷を治す。魔力は、まるで普通の魔女のようにコントロールできた。

気が付けば、教室は静かになっていた。冷静さを取り戻したイザベラは、自分の言ってしまったことを思い出して口に手を当てる。大人に対して偉そうなことを言ってしまった。

「先生、先ほどは大変申し訳ありませんでした」