「どうして、させてくれないんですか?私が魔力をコントロールできないから?危険だから?魔女として役に立たないからですか?」

レオンから「そうだよ」と言われたわけではないのに、イザベラの瞳から涙が溢れていく。レオンは目を見開いた後、イザベラの手に触れた。

「……そうじゃないよ。魔法を使わせないなんて、魔法を教える教師として間違ったことを言っているのはわかってる。だけどね、君は私にとって「ただの一人の生徒」なんかじゃないんだ」

レオンの頬はほんのりと赤く染まっていた。それを目にした瞬間、イザベラの中で時間が止まったような気がした。

(私、先生のことがーーー)

グルルル、と唸り声を上げるドラゴンに対しレオンは杖を向ける。そして、呪文を唱えればその前から頑丈な鎖が現れてドラゴンを拘束してしまった。

「ふぅ……。あとは魔法動物の先生に任せようか。イザベラ、怪我はない?」

ドラゴンがきちんと拘束されているのを見た後、レオンはイザベラの方を向く。その時にイザベラは気付いた。レオンの腕から血が流れている。