女子生徒を見下すように笑い、多くの生徒たちがヒソヒソと話しながら去っていく。女子生徒は拳を握り締め、歯を食いしばった。

「ッ!」

女子生徒ーーーイザベラ・ヴァレンタインはこの学園の多くの人から嫌われている。生徒にも、先生にも、危険視されて避けられている。

このエルピス学園は、魔法を学ぶ学校である。つまり、魔法使いや魔女たちになれる素質を持った人間しか通えない。

エルピス学園に通っているため、イザベラにももちろん魔女としての素質はある。だが、とある大きな理由からイザベラはみんなから嫌われているのだ。

イザベラは、魔法使いのエリート家系であるカークランド家の次女として生まれた。だが、生まれ持った魔力があまりにも大きすぎたため、産声を上げた瞬間に窓ガラスが破壊されたそうだ。

それからも、触れたものを意思関係なく動かしてしまったり、破壊してしまったりすることが多かったため、普通ならば魔法を使うために必要な杖は十二歳から持つのだが、イザベラは四歳頃から待たされていた。