大人ってズルい

「先生、ありがとうございます」

イザベラが微笑むと、レオンは一瞬目を見開いた後、「紅茶でも飲もうか」と言ってイザベラに背を向ける。

他の科目の宿題をしていたイザベラは気付かなかった。レオンが紅茶をティーカップに注ぎながら真っ赤な顔をしていたこと、イザベラには聞こえないとても小さな声で、「進路が決まらなかったら、私の隣にいてほしいな」と呟いていたことを……。



夜の七時頃になると、生徒や先生たちは大広間へと集まる。大広間に行くと空中から長いテーブルや生徒や先生たち全員分の椅子が現れ、テーブルや椅子が並ぶと一瞬にしてテーブルの上に料理が並ぶ。楽しい夕食の時間の始まりだ。

「レオン先生、一緒に食べませんか?」

「私も!私も一緒に食べたいです!」

レオンの周りに女子生徒が群がり、食事を始める。レオンに女子生徒は頬を赤く染めながら話しかけており、レオンが口を開くたびに嬉しそうにしている。

(また、この気持ち……)

ミネストローネを食べていたイザベラは、胸が騒ついて食事の手を止める。その緑眼には他の女子生徒と話すレオンが映っていた。