大人ってズルい

出会って最初の頃、イザベラは「他の教師とどうせ一緒よ」と警戒し、レオンとまともに話すことさえなかった。だが、彼は決して嫌な顔一つ見せずにいつも微笑んで話しかけてくれて、優しくしてくれた。そのため、イザベラはレオンの前でも笑えるようになったのだ。

「私、ちゃんと力をコントロールできているのかわかりません。もう十八歳で、今年で学園を卒業するのに……」

一時間ほど魔力をコントロールする特別授業を受けた後、イザベラはブレスレットをレオンにつけてもらいながら呟く。卒業する前に、生徒たちはそれぞれ進路を決めなくてはならない。だが、危険視されている自分に選べる道があるのか、イザベラは不安で堪らないのだ。

「大丈夫、そこまで深く考えなくていい。イザベラは何も悪いことをしていない。何も落ち度もない。イザベラは、イザベラの進みたいと心から思った道を歩めばいい。誰も止める権利はないのだから……」

強く拳を握り締め、俯きがちになっているイザベラの手をレオンは包む。彼は話をきちんと聞いてほしい時、親が子どもにするように手に触れてくる。

子ども扱いをされている、そうわかっていてもイザベラはレオンの手が触れる時が好きだ。