大人ってズルい

囁かれた耳が熱くなっていく。イザベラは何とか「はい」と言い、ふらつきながら椅子に座った。大人のかっこいい男性から囁かれ、心臓が動きすぎて止まるのではないかと思うほど高鳴っている。

相変わらず周りからの視線は冷たい。だが、放課後に訪れるあることに胸を膨らませながらイザベラは教科書を開いた。



時間が経つのはあっという間だった。放課後、イザベラは浮き足立ちながら「魔法実践」の部屋へと向かう。

レオンの時間を独り占めすることができる、そう考えるだけで周りからの視線など気にならなくなるのだ。

「魔法実践」そう書かれたドアが見えると、イザベラは制服のポケットから手鏡を取り出し、髪や制服におかしなところがないかチェックをする。バラの花が描かれた可愛らしい手鏡は、去年のイザベラの誕生日にレオンから貰ったものである。

心臓がバクバクとうるさいほど音を立てる。ただノックをすればいいだけなのだが、手が震えてしまう。いつからか、この部屋に入るのに緊張するようになってしまった。