由香は今後の就職をどうするか悩んでいた。

今のバイト先である雑貨屋で働き続けるか、デザイナーとして働くか。

僕は今のバイト先で彼女は十分に認められているし彼女がデザインした物が認められるなら今の方がいいのではと言った。

後は彼女が決めることだ。

彼女は今週の土曜日につい来て欲しいところがあると言った。

普段土曜日は昼からアルバイトなのだが、その日は夕方からだった。

土曜日、彼女の運転する車に乗り僕達が向かった先は母校だった。

なるほど、僕がそう呟くと彼女は頷いた。

職員室に入ると先生はそこにいた。

「あなたが来てくれるのをずっと待ってたわ」

彼女はそう言うと僕の元へ来た。

僕もアルバイトをしていたこともあり、少しの礼儀ぐらいは身についていた。

「決して先生のことを忘れてたわけじゃないんです。」

そう言うと彼女はにっこり笑い、僕達を空いている席まで案内しコーヒーを淹れに行った。

そしてそこには一人の女の子が座っていた。

由香の方を見るなり軽い会釈をし僕の方には特に何もしなかった。

先生は三杯のコーヒーと紅茶を一杯持ってきた。

「直樹君、あなた少しは成長したみたいね」

彼女は僕のどこを見てそう言ったのかわからなかったが、きっと由香が僕の話をしたのだろう。

この子は南っていうの、ミーちゃん、この直樹君も私の教え子よ。

そう言うとミーちゃんは僕から目を逸らした。

ミーちゃん、はじめまして。

僕がそう言うと彼女は頷いた。

「音楽の授業は楽しいかい?」

僕がそう聞くと彼女は先生の方を見た。

先生は僕を見て「大丈夫よ。三年間も口パクで私の授業を受けたのはあたなだけだから」と言って、コーヒーを一口飲んだ。

僕の隣で由香は笑っていたが由香も笑える立場ではない。

由香が先生と進路の話をしている間、僕は大学生活やアルバイトの話をした。

少しずつではあったが彼女も僕の顔を見るようになった。

何かゴミでもついているのだろうか?