黒い龍は小さな華を溺愛する。



「もう飽きたから潮時かなって思って」


「飽きた……?」


「俺が本気でお前と付き合うと思った?それならやっぱおめでたいやつだよな」


「……」


目の前が真っ暗になる。


彼はクラスのみんなに優しくて人気者で……


私のこともいつも気にかけてくれてた。

目の前の人が同一人物だとは思えない。


全部作り物だったの……?


『沙羅と付き合いたい』って言ってくれた時も真剣な目をしていたと思ったのに。


「お前さ、中学の時自分がなんて呼ばれてたか知らねーの?苗字が〝うさき〟だろ?だからウザキって呼ばれてたんだよ、それだけみんなにウザがられてたわけ!だってお前下ばっか向いてボソボソなに喋ってるかわかんねーし外見もだせーし。そんな奴誰が好きになるんだよ」


「嘘……でしょ?」


「最初はお前が本気になってておもしれーと思ったけど、なんか最近やたらと彼女きどりしてくるし本格的にうざくなってきてさー」


「……」


こんなに酷い事を簡単に言える人だったなんて……。