黒い龍は小さな華を溺愛する。


常盤くんは何も言ってこないし、追っても来ない。


本当に、別れちゃった。

もう……おしまいなんだ。


常盤くんの笑顔も、温かい手も……二度と近くで見れないし触れない。

紫藤くんの前で沢山泣いたから、もう泣かないって決めたはずなのに。

どうして私の涙はこんなに出てくるの!?


「ぅう……ふっ……」


涙が止まらないまま、私は駅と反対の方向へ歩いた。

こんなボロボロの私を、通りすがりの人たちは驚いた顔で見る。


……行かなきゃ。


約束だから。

終わらせたんだから。


スマホを握りしめたまま、再びあの場所へ行く。

古びたビルの階段を一段一段上るたび、心臓がバクバクして鳴り止まない。

でも……さっきの常盤くんのキスが私を勇気づけた。


扉を開けると、煙草の匂いと騒がしい声。


その中で、秋元は私を見つけて、薄く笑った。


「……そのツラは、ちゃんと別れてきたようだなぁ」