黒い龍は小さな華を溺愛する。


「……合わないって思っただけ」

「それ、本音じゃないだろ」

「本当だよ、私と常盤くんの住む世界は違うって、前から思ってた」

「なんだよ、それ」


上を向けない。

目を見たら全部見透かされてしまいそうで。


「誰かになんか言われた?」


すぐに首を横に振った。


「……前に言ったよな、離れたい言われても追いかけるって」


覚えてる。

冗談みたいに言ってたけど、あれは本気だった。


「それでも側にいたいって、言ってただろ」


「うん……あの時はそうだった。でも、もう怖くなっちゃって……」


「限界ってこと?」


「ごめん……私の問題なの、常盤くんは何も悪くない」


頭がずきずきと痛みだす。

気持ちと声がついて行かない。

沈黙の後、常盤くんは大きく息を吐いた。


「……わかった」


その言葉が、思っていた以上に重かった。


「引き止めても、無理なんだろ?」


何も言えず、ただ頷く。