黒い龍は小さな華を溺愛する。


――翌日

秋の風が冷たくなってきて、制服のスカートが足に張り付いた。

学校の帰り道、きっと常盤くんと帰るのはこれで最後だと思う。

いつもの角で足が止まる。

ここから先はいつも同じ方向へ帰るはずだった。


「……どうした?」


隣を歩いてた常盤くんが、足を止めて私を見る。

その声が優しくて、胸がきゅっと縮んだ。

これ以上、優しくしないでほしかった。


「常盤くん……今日、ちょっと話があるの」


声が震えないように、息を整える。

でも喉が詰まって、思うように言葉が出てこない。

そんな私をせかすわけでもなく、じっと待っててくれてる。


「私たち……別れよ?」


一瞬、風の音だけが耳に入った。


「……は?」


低い声。

聞き間違いだと言ってほしそうな顔。


「急に何?冗談?」


「冗談じゃない……」


「理由は?」


すぐに返ってきた問いに、答えが見つからない。

用意していたはずなのに、全部ウソみたいに薄っぺらく思えた。