黒い龍は小さな華を溺愛する。


でもこれからもっと酷い事を伝えなきゃいけなくて。

それを考えるだけで、具合悪くなってしまう。

私は立ち上がって廊下に出た。

振り返っても、常盤くんは追ってこない。

寂しい気持ちと、これでいいんだって気持ちと、いろんな思いが入り混じる。

トイレを済ませて出ると、紫藤くんに会った。


「あ、沙羅ちゃん!久しぶりじゃん!」

「紫藤くん……」


相変わらず整えられた髪と、柔らかい目元。

でも私を見るなり、ほんの一瞬だけ表情が止まった。


「なんか痩せたんじゃない?元気もないし……何かあった?」

「ううん、何にもないよっ」

笑ったつもりだったのに、たぶん上手く笑えてない。


「何もないわけないよ、そんな顔して……夕晴だって気付いてるでしょ」

「どう、かな……」

私の顔をじっくり見て、眉間にしわを寄せている。


「てか……それやばくない?」

「え?」

紫藤くんが自分の首を指さす。