黒い龍は小さな華を溺愛する。



スマホが震えたのは、昼休みの終わりだった。

ポケットの中で、短く一度だけ。

すごく嫌な予感がして、ゆっくり取り出した。

画面に表示された名前を見た瞬間、心臓が嫌な音を立てる。

――秋元。

〝もう別れたか?約束忘れてないよな?
土曜、俺のところに来い〟


短い文なのに、喉がきゅっと締まる。

最後の一文が、特に。

脅し文句なんて書いてないのに、〝選択肢はない〟とはっきり伝わってくる。

私はスマホを伏せて、机の上に置いた。

視界が滲んで、文字が読めなくなる。

土曜日まであと2日……。

常盤くんと笑って過ごせる時間はあとわずかなんだ。

その時背中を何かでツンツンと押された。

振り返ると、机に伏せて寝ていると思っていた常盤くんが、人差し指で私の背中を突いていた。


「どーした?」

「……なんでもないよ」

顔を見たらバレてしまいそうで。

咄嗟に前を向いた。

心配してくれてるのに……ひどい態度だよね。