黒い龍は小さな華を溺愛する。


ここは私が一番安心できた場所なのに。

そして、今日で最後になるかもしない場所……。


「どーした?座れよ」

「あ、うんっ……」

ベッドの端に腰を下ろすと、常盤くんが

「なんでそんな端なの」

と、笑いながら私の腕を引っ張った。

肩が触れる距離なのに、心臓の音がうるさくて落ち着かない。

秋元の言葉が、頭の奥で何度も反響する。

あんなやつに奪われる前に、せめてこの人に……。

「……常盤くん」

名前を呼ぶ声が、少し震えた。

「ん?」


いざとなると怖くなった。

逃げたいのに、離れたくない。

矛盾だらけの感情で、どうしたらいいのかわからない。

常盤くんは、そんな私の異変にすぐ気付いた。

「なんかあった?」

「……私を常盤くんのものにして」

恥ずかしくて、目が見れなかった。

テレビのバラエティの笑い声が部屋に響き渡る。