黒い龍は小さな華を溺愛する。


そんな律くんが、大きなリュックを背負って出かけようとしていた。

「今からどこか行くの?」

「友達んち。受験勉強も飽きてきたし、たまには息抜きに友達んち泊まってこようと思って」

「そうなんだ!」

友達ができて、しかも泊まる仲に……!

すごい、すごい。成長しているな……。

律くんが明るくなって、学校にも行くようになって本当によかった。

笑顔で私達に手を振り、鳳凰を出て行った。


「あいつのあんな顔、珍しいな」

「そうなの?最近明るくなったと思ってたけど……」

「久しぶりに沙羅に会ったからだろうな」

手に顎を乗せて、じとっと見てくる。

「え!?私?」

「自覚がないとこ、どうにかしてくれませんかねぇ」

ため息交じりにラーメンをすする常盤くん。

あの写真の件があってから、何の変化もなさそう。

秋元は本当に何もしないでいてくれるんだ。

……でも、もし私の方が約束を破ったら。

そう考えるだけで、背中に冷たいものが走った。