黒い龍は小さな華を溺愛する。



鳳凰のバイトを辞めてから、家に直帰することも増えた。

たまに常盤くんと帰りにご飯を食べたりしているけど、それ以外はまっすぐに帰る。

私はいつ、どうやって常盤くんに言い出そうか悩んでいた。

〝別れ〟を。

こんなこと考えたくないから一人になるのが嫌で。

でも早く考えないと、期限が迫っている。

あれから秋元から連絡がきて、今月中に別れを切り出せと言われた。

今月中ってことは、あと一週間もない。

常盤くんと過ごせるのも……あとわずかなんだ。

そう思うと胸が苦しくなって、涙がこみ上げてくる。

最後に……鳳凰に行きたい。

あそこは常盤くんとの思い出が沢山あるところだもん。



「なぁ、最近ちゃんと飯食ってんの?」

学校の帰り道、いつもと同じ通学路を常盤くんと手を繋いで帰っていた。

並んで歩いてる時、横から常盤くんの事を盗み見るのが好きで。

綺麗な長い黒髪から時々見える、ピアスがキラキラしていて。

整った鼻筋、たまに見せる目じりが下がった笑顔が大好きだった。