「……黒幕に会わせて」
自分でも驚くほど、声は落ち着いていた。
「おお、そうきたか」
「話をつけたいの……条件があるなら直接聞きます」
男は一瞬だけ笑い、それから顎で示した。
「乗れ」
アパートの横に黒いセダンが停まっていた。
中から2人の男が降りてきて私の両端につく。
そして少し強引に私の腕をつかみ、そのまま車に乗せられた。
覚悟は決めたはずなのに、全身震えていたのが自分でもわかった。
車内は異様に静かだった。
走るほどに、街の灯りが遠ざかる。
常盤くんとバイクで走った街並みを見て、胸が締め付けられた。
もうあんな日には戻れないかもしれない。
連れて行かれたのは、人気のないビルの一室。
ドアが開き、煙草の匂いが鼻をつく。
ここがアジト……なの?
「連れてきました」
男がドアを入ってすぐに頭を下げる。
中には数人の男がソファに座っていて。
そこの中心にいた男が立ち上がった。



