黒い龍は小さな華を溺愛する。


アパートの近くに着き、私はヘルメットを外して渡した。

「今日もありがとう」

「うん」

「……常盤くん」

「ん?」

呼んだのに、何を言えばいいかわからなくなる。

写真の事、この前の男の事……

全部、喉の奥にしまいこんだ。

「大好きだよ」

そのかわり、笑顔でそう言った。

言葉にしてしまえば、全部なかったことにできる気がして。

何も心配しないでって。

そんな思いを込めて。

ちゃんと笑えてるかわからないけど……。

常盤くんは少し驚いているようだった。

「なんだよ、急に」

「言いたくなっただけ」

私が笑うと、常盤くんが正面から抱きしめてきた。


「俺も」

「うん」

「自分のことより、大事だから」

「……それはダメだよ、自分も大事にしてほしい」

「わかってる。でもマジで命かけてもいいと思ってる」

その言葉が今は重くて。

私は頷くことも、否定することもできなかった。