黒い龍は小さな華を溺愛する。


それは何事もなかったように自然で。

だから余計に胸の奥がざわついた。

あの写真、明らかに私の後姿の隠し撮りだった。

気付いた瞬間から、冷や汗が止まらない。

「沙羅」

名前を呼ばれて、はっと顔を上げる。

「もう閉店だから。先に着替えてきな」

「……うん」

頷いたのに、足がすぐには動かなかった。

ポケットにしまわれた封筒が、そこにあるとわかっているだけで、視線が勝手にそこへ引き寄せられてしまう。


「……さっきの」

言いかけて、やめた。

言ってどうするの?

この前の事も言えないのに。

いつどこで撮られたんだろう……。

前から時々感じる視線は、やっぱり気のせいなんかじゃなかった。


外に出ると、夜の空気が冷たい。

いつものように私にヘルメットを被せてバイクで送ってくれた。

常盤くんは今何を思っているのかな。

さっきの写真の事、絶対気にしてるよね。

でも私からは何も言えない……。

もどかしい気持ちがずっとモヤモヤしている。