黒い龍は小さな華を溺愛する。


閉店時間が近づき店の掃除をしていると、篠原さんが暖簾をしまいに外へ出た。

「沙羅、あといいから奥で休んでろよ」

「え?大丈夫だよ」

「大丈夫じゃねえだろ、今日顔色悪いぞ」

普通にしてるつもりでも、常盤くんにはわかっちゃうのかな。

「……ありがとう。でも本当に平気だから」

その時、篠原さんが中に入ってきた。

「夕晴、お前宛に手紙だぞ」

「俺に?」

「ああ、差出人は書いてないけど」

常盤くんに手紙を渡して厨房に入っていく。

私は気になって常盤くんの方を見ていた。

その場で手紙を開けて止まっている。

「常盤くん……」

近くに行こうとして足が止まる。

手に持っていたのは……

私の写真だった。

心臓が、音を立てて落ちた気がした。

私の気配に気づいた常盤くんは、咄嗟にそれを封筒の中にしまった。


「それ……」

「誰からだぁー?」

厨房から篠原さんが声をかける。

「知り合い。大した内容じゃねぇよ」

そう言った常盤くんは私の方を見ずに手紙をポケットにしまった。