黒い龍は小さな華を溺愛する。

画面を見つめたまま、指が止まる。

――助けてって言えばいい。

でも……常盤くんはもう十分戦ってきた。

子どものころからずっと一人で。

全部抱えたまま、それでも前に進もうとしている。

そんな常盤くんを私のせいで引き戻すなんて、できなかった。

胸の奥がじわりと冷えていく。

瑠亜がこの前言ってたことを思い出す。


『あんたが側にいる限り、また無理する』


常盤くんはきっとそう。

私の為に無理するはずだ。

私は息を吸って、吐いた。

……とりあえずこのことは誰にも言わないでおこう。

これは私が背負うべきものだから。

夜風が頬をなぞる。

歩き出した足はさっきより少しだけ重かった。